人気ブログランキング | 話題のタグを見る

REAL

本物を扱うが故のこの国での厳しさ。
どちらかといえば○○風が大きな市場を占めているこの国では家具に限らずアパレル業界等でも同様のようで。古着風の新しいジーンズやシャツ。特段それが悪いとかは思わないのですが「本物」を理解した上での評価なのかな、と。本物は本物であるが故にそれなりのダメージや見てくれがあります。しかし現代のモノとはディテールが全く異なる。それぞれの年代や時代背景、景気等によってそのディテールは変化し、それなりの劣化を表情として見せてくれる。
 当時でしか手に入れる事の出来なかった材料や、当時ならではの製法。ありとあらゆる手法を用いてプロダクト出来る現代と異なり、当時はそれしか出来ない、人々が考え抜いて生み出してモノが作られた、と。
 ペンキの剥がれひとつとっても、木のやれ方ひとつとっても、または鉄の錆びも、同じモノは当然存在しない。そこに魅力や価値を感じるかどうかの問題だとは思うのですが。
 アンティーク風という言葉はこの店には存在しないし、それを望まない方が多くお越しになられます。こういう場所で店を構えていると、如何に「本物」を求めている人々が少ない国かが見えてきます。でもその数少ないであろう本物の魅力を感じる事が出来る人々がゆっくりと確実に来店され、お買い物頂いています。急いで売るものでもないし、さばくものでもない。「然るべき」人に向けて本物を提案し、一緒にその価値観を共有できればそれでいいと考えています。
 押し付けがましく「本物」が一番と言うつもりはありません。既にどれが本物でどれがそうでないのかの基準がよくわからない国な気もするので。
 出来上がった「基準」や時流のスタンダードにとらわれることなく、「自分スタンダード」を貫く方々と話す事ほど楽しいことはない。
by earlybirdantique | 2006-12-06 22:07 | HELLO!